子供の自己肯定感を高めるコツ
この記事の目次
自己肯定感
「子供の自己肯定感を高めるにはどうしたらよいですか?」
ママ達からこんなご相談をよく受けます。
「常々、子供のいいところ、得意なことを褒めるようにしています」
「子供が興味を持っていること、好きなことをやらせるようにしているんです」
みなさん、いろいろと工夫をしているようです。
それでもお子さんの自己肯定感が上がっているのかよくわからない、というのがママたちのお悩みです。
「自己肯定感」とは、「自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情」(出典:実用日本語表現辞典)といわれています。
お子さんの自己肯定感を気にしているママ達のお話を伺っていると、ご自身の自己肯定感があまり高くないケースが多いようです。
そしてその場合は、お子さんの自己肯定感の前に、まずご自身と向き合うことをおすすめしています。
今回は、私が登山に関する苦手意識に向き合ってありのままの自分を受け入れることで子供への接し方が変わった体験をお話したいと思います。
苦手意識
昨年から、夏休みになると、息子と共に登山に行きます。
毎年、登山仲間が企画をしてくれて、今年も15名近くのメンバーと共に2つの山に登ってきました。
参加者には、何日もかけて縦走登山をするような上級者から、年に1~2回登山をするかしないかという私のような初級者まで、経験も体力も異なるメンバーがいるので、各自自分に合ったコースを選んで登ります。
なので、私はいつも4~5時間程度の初級者コースを選んでいます。
昨年初めて参加しましたが、自分に向き合いながら山に登り自然の中に身を置くことが心地よく、今年も早々に参加を決めました。
今となっては、登山”好き”の仲間入りをした私ですが、実は、昔は登山が大の苦手でした。
そこで今回、その苦手意識に向き合ってみることにしました。
林間学校の想い出
私が登山を苦手だと感じるようになったのは、小学生の頃です。
小学校時代、夏といえば林間学校。
そしてそれには登山がつきものでした。
私は、山自体は嫌いではありませんでしたが、学校の登山は気が重い行事の一つでした。
当時は、登山や遠足といえば、子供たちは背の順に並び、その並びを崩さないように、前の人と等間隔で歩くことが課されていました。
今思うと、まるで軍隊のようです。
そして思い出すのは、いつも皆のペースに遅れをとってしまう自分の姿でした。
早く歩きたい子が前にいると、前との間隔がどんどん開いていってしまい、自分が遅れると後ろが詰まって急かされ、いつも落ち着きませんでした。
でも私の場合、さぼったりふざけたりして、わざと遅れているわけではありませんでした。
精一杯やってそうだったのです。
その理由の一つに、高所恐怖症がありました。
普通の人にとっては登山の醍醐味といえるような山からの素晴らしい眺望も、私にとっては時に怖くて目を覆いたくなるようなものでした。
特に片側が急斜面になっているような細い道を歩く時は、足を踏み外して落ちてしまったらどうしようという不安や怖れが出てきて足がすくみ、ますます歩みが遅くなりました。
そうこうするうちに、前を歩くクラスメートとの間隔がどんどん広がっていってしまったのです。
怖れを感じる
今回、登山に参加するに際して、そうした過去の感情を感じることに決めました。
小学校時代の登山の体験を振り返りながら、その時にどんな感情を持っていたのかを見つめてみることにしました。
まず出てきたイメージは、見晴らしがよく、一方が崖のようになっている細い道を歩く自分です。
足を着く場所を誤って、足を踏み外して滑り落ちてしまったらという怖れを感じてみました。
胸のあたりがザワザワとしてきました。
加えて隊列をなして歩きながら、私のところだけ前を行くクラスメートとの間隔がどんどん広がっていく時の後ろめたさも感じました。
私のせいで、クラスのみんなに迷惑をかけているのではないか、そんな気持ちがわいてきました。
そうしているうちに、別のシーンが思い浮かびました。
ある時、先生たちが私のクラスの登山のペースについて「山友さんのところで間隔があいてしまって」と話しているのを耳にしたことを思い出しました。
まず名指しされたことがとてもショックでした。
自分なりに一生懸命歩いているのに、お前はダメだと否定されたような感じがしました。
そして、その感情を感じていると、その裏にあるこんな思いもでてきました。
それまで優等生タイプで先生達に信頼されていると自負していた自分が、ネガティブな事象の要因として挙げられたことが余計にショックでした。
自分の評価が下がって見放されたような気持ちがわいてきました。
忘れていたこのシーンがまざまざと思い出され、私はとても傷ついたのに、その感情に蓋をして見ないようにしていたことに改めて気づき、感じてみました。
昔の私、今のわたし
当時の私にとって、登山にはこんなルールがありました。
・登山では、隊列を組んで、常に前後の人との間隔を崩さないように同じペースで歩かなければならない
・登り始めたら、途中で諦めることなく決められた時間内に登りきって下山しなければならない
高所恐怖症で、足がすくむような場所もある私にとっては、今思うと、苦行のような体験でした。
過去にたまった感情を感じていくと、それらのルールは自分が勝手に作った幻想であり、手放していいと思えるようになりました。
今の私には、そんなルールは必要なく、自分の選んだルートを、ただ自分のペースで歩けばいいのです。
他のメンバーとペースを合わせる必要もなく、辛くなったら途中で下山することだってできるのです。
全てが自分の選択です。
私は、結局、両日共に4~5時間程度のコースを選び、自分らしく登って下山することができました。
新たなスタイル
小学校時代の感情のわだかまりを解消して、自分に向き合って参加した、今回の登山で、自分らしく今を楽しむことができました。
また私は「登山」が嫌いだったわけではなく、決められた道を決められたペースで歩く、あの小学校時代の登山スタイルが苦手だっただけであることにも気付きました。
自分のペースで歩を進め、好きな場所で足を止め、休憩をすればよい。
大変になったら無理せずに途中で下山する選択肢も、私の中にはあります。
「〇〇しなければならない」と思っていたことは全部自分がはめた枠だと気づき、すっかり肩の力も抜けて楽になりました。
ありのまま
こうして自分らしく山に登ってみると、心から楽しむことができました。
山の空気を胸に吸い込み、下山後も心地よい疲れと睡眠が訪れ、満たされた感覚でいっぱいになりました。
さらに相乗効果もありました。
一緒に参加した中学生の息子の選択も、ありのまま認めて受け入れられるようになったことです。
一日目、私は初心者コースを、息子は上級者コースを選びました。
以前の私なら、子供と一緒に登らないと他のメンバーに迷惑をかけるのではないかという固定観念から
私が無理をして上級者コースに行ったり、あるいは息子に私と一緒の初心者コースを薦めていたことでしょう。
しかし、息子が自分で選んだのだから、また私は私の好きを大切にすればよいと、別ルートを行くことにしました。
もちろん他の上級者の方々が息子をケアしてくれたお陰ですが。
二日目は「体調がよくないからホテルで待っている」という息子の選択もすんなり受け入れられました。
小学校時代の価値観にガチガチに縛られていた以前の私なら、参加すると決めた登山はやり切らなければならない、
挑戦する前に棄権するなんてもっての他と考えて、拒絶していたと思います。
しかし今回は、息子の選択をすっと受け入れることができました。
「今日は行かない」と言った息子に「わかった」と私が答えた瞬間の息子のほっとした、嬉しそうな表情が今も忘れられません。
息子は、それで自分の選択が、自分自身が認められたと感じたのだと思います。
そして、このような積み重ねが息子の自己肯定感を少しずつ育んでいくんだろうと感じています。
まとめ
今回は、私自身が自分の苦手に向き合い、自分を認められるようになったことで、息子の選択も認められるようになった、という体験をお伝えしました。
これまでカウンセリングを通じて、ママが自分を認めて自己肯定感が上がっていくと、お子さんをありのまま認められるようになり、するとお子さんの自己肯定感も上がっていく、という事例をいくつも見てきました。
お子さんの自己肯定感が気になるママたちは、まずは自分をありのまま認めているか、とご自身に問いかけてみてはいかがでしょうか。
そうして自分にアプローチしていくと、お子さんにも変化があらわれてくるかもしれませんよ。
ビジネスコンサルタントとして仕事をする傍ら、社内外での人間関係、夫や子供との関係をもっと円滑にしたいと感情カウンセリングを学ぶ。その中で、自分が不安ベースで生きてきたことに気づき、これまで見ないできた感情を感じるようになると仕事&家族関係も好転し、がんばらなくても生きやすくなったという実感を持つ。
現在は、感情カウンセリングを提供すると共に、職場のワーキングファミリーコミュニティで「子育てにおける感情の取扱説明書」セミナーを継続開催するなど、感情カウンセリングの良さを伝えることも積極的に行っている。