夫に言われて傷ついた言葉
この記事の目次
子育て or パートナーシップ?
「子育てのことで、よく夫とけんかになります。どうしたらいいでしょうか?」
子育ての相談ということでカウンセリングを始めると、実は旦那さんとの関係についてのお悩みというケースがよくあります。
・共働きなのに、子育てに関しては私がメインで、夫はサブ。
子育てを「手伝っている」というスタンスにイライラする。
・子供のことをもっと真剣に考えてほしいのに、こちらからお願いしないと何も動いてくれない。
いつも私ばかりが頑張っていて不公平な感じがする。
・夫に子供のことを相談をしても、いつも気のない返事ばかり。
もっと話をちゃんと聞いて、私の気持ちをわかってほしいのに。
・毎日、仕事も家事も育児も精一杯がんばっている私。
本当は夫から「よくやっているね!」の一言がほしいだけなのに、言ってもらったこともない。
ママたちの旦那さんへの不満の声は、きりがありません。
実は以前の私も、子供のためにパートナーシップを少しでも良くできればと、もがいていた1人です。
今回は、夫に言われたある言葉をきっかけに、私自身がどのように感情に向き合い、解消していったかの過程についてお話ししたいと思います。
心に刺さった言葉
「お前は自分のエゴのために働いている」
息子が幼稚園に通っている頃、小学校受験をさせたいという夫と、あまり乗り気でない私が、けんかをした時に夫から言われた言葉です。
私は、コンサルタントとして働いていますが、出産に伴い、仕事を続けるかどうかという話になった時、夫は、自分の収入だけで家計は回るので、「仕事を続けても続けなくても君の好きにすればいい」と言ってくれていました。
話し合いの結果、私は出産後も、自分の好きなコンサルタントの仕事を続けることを選びました。
夫は、口ではどちらでもいいとは言っていましたが、母親が専業主婦の家庭で育った彼にとって、子供を保育園に預けて私がそれなりに忙しい仕事を続けることについては、ずっと違和感があったのだろうと思います。
そして彼にとっては何気ない言葉だったかもしれませんが、私にとっては、子供のことを二の次にして自己実現という”わがまま”のために働いているという風に聞こえて、自分を否定された感じがしたことを思い出します。
その言葉は、長いこと私の心に突き刺ささっていました。
感情の波
世のママたちは、旦那さんにそんなことを言われたら、烈火のごとく怒って言い返すかもしれません。
でも、私の中には、子育てをしながら働き続けることへの後ろめたさがあったので、言い返すこともできず、ただ黙り込んでしまいました。
私の亡き母も専業主婦で、「幼い頃から子供を保育園に預けて母親が働きに出るなんてかわいそう」という価値観を持っていた人だったので、それを少なからず引き継いでいたからです。
家庭の中で自分が働くことは認められていないという寂しさ、無価値だとでもいわんばかりに否定されたような悲しさがわいてきましたが、それらの感情は見ないようにして、蓋をすることにしました。
そんなことに立ち止まっているより、日々の子育て、仕事、家事に忙殺されていたからです。
しかし、私の心には、いつまでもその言葉が棘のように刺さっていて、母親が働くことによる子育てへの弊害に関係するような情報や言葉を耳にする度に、当時の私は、よく心を揺さぶられました。
心の棘
感情カウンセラーとして感情の解消方法を知り、当時の私が蓋をしてしまった感情を感じてみることにしました。
自分が働き続けることを否定されたような感覚
子供のことよりも、自分のやりたいことを優先することへの罪悪感
母親が働いていることで、子供が満たされないのではないかという不安感
いろいろな感情が出てきましたが、これまでずっと蓋をして見ないようにしてきた感情を取り扱うことは、初めはとても大変でした。
感情を感じようとすると、そのそばから、いやいや実際は〇〇でしょ… と左脳が邪魔をして、出てくる感情を否定してきます。
そんな自分の中の抵抗にあいながらも、感情を一つ一つ感じていくことにしました。
いろいろな感情を取り扱っていくと、私は自分の心の声に従ってやりたいことをやっていい、と自分に許可を出せるようになってきました。
子供が幼い頃は、母親は家にいて子供のことを一番に見てあげるべき、という他人軸の価値観で無理やり自分を縛るよりも、自分がこうありたいと望む姿を自分軸で追い求める方が嘘がないと思えたのです。
そして、母親が自分に嘘なく日々を過ごしていれば、子供も自ずと自分の心を大切に人生を送れる人間になるだろうと思うことができました。
答えは自分の中に
相手が深い意味なく発した言葉でも、自分の心にわだかまりがあると、過剰反応してしまうことはあります。
みなさんも、例えば、旦那さんに言われたある言葉だけが何度も思い起こされて心がざわつくという経験はありませんか?
それは、その時に感じた感情を見ないように蓋をしてしまったために起こります。
その感情に向き合わない限り、そのシーンが何度も反芻するように思い出されて心が乱されますし、同様に自分を揺さぶる言葉を投げかけられることが繰り返されることもあります。
そのような言葉を投げかけるのは、旦那さんだけでなく、ご両親、あるいは職場の上司、同僚のこともあるかもしれません。
それは、感じてもらえなかった感情が「私のことを忘れないでちゃんと感じきって!」とアラートをあげるようなものだと考えます。
なので、心を揺さぶられるような事象が起きたら、逃げずにその時に出てきた感情を感じてあげるのがよいと思います。
ありのまま
溜まりに溜まった感情に向き合おうと決めて、感じて解消していくと、私は自分なりにとてもがんばっていたんだと、昔の自分を認めて労われるようになりました。
息子の保育園・幼稚園時代、糸のようにピンと張り詰めて頑張り過ぎていた自分のことが思い起こされました。
早朝から深夜まで、ママ業とコンサルタントの仕事と家事と、弱音を吐かずに頑張っていた自分に、よくがんばったね、と言ってあげることができるようになりました。
そうすると、以前の気を張って頑張っていた自分のことも受け入れられて、じんわりと癒された感じがしてきました。
その経験があって様々な感情を解消したからこそ、今の自分がある、という感覚です。
そうすると、自分と同様に、子供についてもありのままを認められることが増えてきました。
〇〇できていない、足りないという否定系ではなく、〇〇できたね、とありのままをジャッジせずに認められるようになりました。
ママたちのお悩み
今や息子も中3になり、子育てのステージはだいぶ変わってきました。
私自身、苦手なことは苦手、疲れた時は疲れた、と息子にも正直に伝えて、手抜きもいっぱいしながら(笑)、暮らしています。
夫から思いがけない言葉を投げかけられても、一歩ひいて自分の中のあの傷がうずいたのかもしれないと、過剰に反応することも減ってきました。
加えて、相手にもこんな傷があるのかもしれない、と思いやることもできるようになりました。
ママたちのカウンセリングをしていると、旦那さんからの言葉にムカついた、傷ついた、悲しくなったというご相談は山ほどあります。
お話を聞きながら解きほぐしてみると、自分がこうしなきゃと思っているけどできていないところを指摘されたから過剰に反応してしまったという風に、ご自身の中に原因があることも多いです。
そしてそれに気づくだけで、だいぶ目の前の事象との距離感もとれ、波立った感情もおさまり、問題に冷静に対処できるようになっていきます。
まとめ
パートナーは、自分を映す鏡のようなものだと思います。
自分の弱いところ、傷ついているところを映し出してくれる相手が一番身近にいるケースは、少なくないようです。
自分の課題を解決するために、敢えて自分でそういう相手を選んでいるのかもしれません。
パートナーシップに問題を感じた時は、相手の言動に心揺れているご自身の心にフォーカスしてみませんか。
出てきた感情を見つめて解消していくと、心の傷も癒されて、それまで抱えてきた問題も解決に近づいていくかもしれません。
ビジネスコンサルタントとして仕事をする傍ら、社内外での人間関係、夫や子供との関係をもっと円滑にしたいと感情カウンセリングを学ぶ。その中で、自分が不安ベースで生きてきたことに気づき、これまで見ないできた感情を感じるようになると仕事&家族関係も好転し、がんばらなくても生きやすくなったという実感を持つ。
現在は、感情カウンセリングを提供すると共に、職場のワーキングファミリーコミュニティで「子育てにおける感情の取扱説明書」セミナーを継続開催するなど、感情カウンセリングの良さを伝えることも積極的に行っている。